昭和34(1959)年、石炭から石油への「エネルギー革命」のもとに強行された転換政策により、九州の炭田地帯には多くの失業者があふれていました。土門拳はこの年の12月、閉山の続く筑豊で失業にあえぐ人々とそのこどもたちを半月という短期間で撮りきり、翌年1月、ザラ紙に印刷した写真集『筑豊のこどもたち』を出版しています。「出来るだけ多くの人々にこの現実を知って欲しい」という土門の思いから100円という安価で出版されたこの写真集は、当時大ベストセラーとなり、ドキュメンタリーフォトの名作として社会的に大きな反響をもたらしました。困窮した生活の中でたくましく生きるこどもたちの姿をとらえた、心に迫る作品です。