好きなものだけを撮ることを信条とした土門拳(1909-1990)。きらいなものはいくら金を積まれても撮らなかったという彼は、写真家人生の中で数多くの“好きなもの”を作品として残しました。被写体をすみずみまで凝視し生まれた作品は、クローズアップで細部にまで迫り、その質感までもを表現しています。
土門といえば古寺、その中でも“ぼくの好きなもの”として挙げている三仏寺投入堂や薬師寺三重塔、薬師寺東院堂聖観音などを中心として、昭和37(1962)年、53歳で開眼したやきものや古来よりの伝統文化を写し取った作品など、土門のまなざしに吸い寄せられた“好きなもの”の数々を凝縮してご覧いただけます。