堤清二は西武百貨店、西友ストアー(現・西友)、パルコ、ファミリーマート、西武クレジット(現・クレディセゾン)、無印良品、吉野家等多くの企業を時代の生活産業として育てた同時代の革命的経営者として知られている。また同時に詩人・小説家辻井喬として、室生犀星詩人賞を受賞した『異邦人』にはじまり『群青、わが黙示』(高見順賞)、長編詩『わたつみ三部作』(藤村記念歴程賞)、小説『いつもと同じ春』(平林たい子文学賞)、『虹の岬』(谷崎潤一郎賞)、『沈める城』(親鸞賞)、『父の肖像』(野間文芸賞)を含む多くの作品を書き著し、生涯に出版した点数は120冊を超えている。さらに「実業家と芸術家との和解」という提言を自ら実践するように、堤清二と辻井喬との協同合作として、1981年に軽井沢にセゾン現代美術館を開館した。本展では、堤清二と辻井喬という「ふたつの目」の原点を探りつつ、愛した収蔵作品、全著作、自筆原稿、身近に置いた作品等によって、その稀なる思想と感性を再確認するものである。