石川県を代表する伝統工芸である九谷焼が創始されたのは、明暦元年(一六五五年)のことでした。以来三六〇年間にわたって、その時代ごとの趣味を反映しながら、多様な表現を生み出してきました。その陰には、有田をはじめとする各地の窯との交流や、青木木米、永楽和全、板谷波山、富本憲吉、北大路魯山人など、多くの陶工たちの往来があったことが知られています。本展では、古九谷から再興九谷、明治の輸出陶磁や近代の展開を経て、現代にいたるまでの九谷焼の系譜を、各時代を代表する名品によってたどりながら、交流するやきもの、九谷焼の本質に迫ります。九谷焼の尽きせぬ魅力をぜひご堪能ください。