フランス北西部に位置するブルターニュ地方は、豊かな自然と独特の伝統文化によって、多くの画家たちを魅了してきました。ポスト印象派の巨匠 ポール・ゴーギャン(1848-1903)もそのひとりです。1886年の夏、ゴーギャンは初めてこの地を訪れ、1894年まで断続的に滞在し制作を行います。風光明媚なブルターニュでの活動は、タヒチ時代に連なる楽園のイメージのはじまりでもありました。
彼が滞在した小村ポン=タヴァンには若い画家たちが集い、やがてゴーギャンを中心に活発な交流が行われました。のちに「ポン=タヴァン派」と呼ばれる彼らは、ブルターニュの風景に内面的な世界を反映させ、明確な輪郭線と平らな色面による新しい絵画表現を生み出します。
本展は鹿児島市立美術館開館30周年を記念し、フランスのカンペール美術館、ブレスト美術館、デンマークのニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館のコレクションを中心に紹介するものです。油彩から版画、陶器まで、日本初公開を含む多様なゴーギャンの作品10点のほか、ベルナール、セリュジエ、ドニら、ポン=タヴァン派の作品をあわせて約70点展示します。
印象派を超え、20世紀美術へ大きな影響を与えた画家たち、それぞれの個性の輝きとともに、彼らが描いたブルターニュの風景をめぐる旅をお楽しみください。