東京オリンピックに国中が熱狂した昭和39年―
伝説の「日展三山」展示を再現
東山魁夷館は今年で開館25周年を迎えます。これを記念して、香川県立東山魁夷せとうち美術館との初の共同企画により「日展三山―東山魁夷、杉山寧、髙山辰雄―」展を開催します。
温厚な東山魁夷(1908-1999)でさえ、家族には「戦場」と漏らしていたという日展。年に一度の檜舞台において鎬を削ったライバルに杉山寧(1909-1993)、髙山辰雄(1912-2007)がいました。
昭和30年代に入ると、中堅作家の代表として彼らの作品は三作並んで展示されるようになり、日展三山とよばれ、人気が高まります。
そして、東京オリンピックに国中が熱狂した昭和39年、三人は期せずして、それぞれ地上の物象と天体、その間に広がる空を表しました。さらに杉山と髙山の作品が同じ「穹」という題名だったことも評判となり、「日展三山」の名は、一挙に国民的なものになりました。
日展を舞台に昭和の美術を華やかに彩り、多くの人々から親しみと尊敬の念を込めて「日展三山」と呼ばれた三巨匠。戦後の日本画を牽引した三人の原点ともいえる東京美術学校の卒業制作、そして今や伝説となった昭和39年の出品作を一堂に介し、今なお多くの人々に支持される三山の美を探ります。