瞽女 (ごぜ) は、村から村へ、三味線を弾き、祭文松坂 (さいもんまつざか) を唄い、閉ざされた山国の寒村に娯楽を持ちはこんだ盲目の女旅芸人のことです。
瞽女唄が日本の唄の源であり、室町時代からつづく文化だと知った斎藤真一は、1961年(昭和36年)から二十年にもおよぶ歳月をかけて百数十人の瞽女の喜びや悲しみ、三百軒以上ある瞽女宿の人たちとの温かい心の触れ合いや瞽女の足跡を越後路に巡り、「越後瞽女日記」として描き記録し数多くの作品を発表しています。
1971年(昭和46年)「星になった瞽女 (みさお瞽女の悲しみ)」は第14回安井賞佳作を受賞しました。また、文筆でも1972年(昭和47年)刊行の「瞽女=盲目の女芸人」(日本放送出版協会)は第21回日本エッセイストクラブ賞、「越後瞽女日記」(河出書房新社)はADC賞を受賞など、多くの書籍が出版されています。
斉藤真一は、戦後日本の高度成長、経済的豊かさの追求の陰で、日本人として失われてゆく文化、忘れてはならない心の故里 (ふるさと) というべきものを私たちに強く訴えかけ、語りかけています。