古代、中国の神話に登場する吉兆の動物は霊獣 (れいじゅう) とよばれました。またそれは権力を誇示する為政者 (いせいしゃ) のものであり、優れた支配者の時代に出現するといわれます。その代表格が天空の方位を司 (つかさど) る四神でしょう。東の青竜 (せいりゅう)・南の朱雀 (すざく)・西の白虎 (びゃっこ)・北の玄武 (げんぶ) は一度は耳にしたことがあると思います。霊獣には「亀」「虎」など実在する動物もいますが、その多くは想像上の動物であり、古来よりめでたい動物とされてきました。中国ではめでたいことを「瑞」という字を当てて呼ぶことから、霊獣を「瑞獣 (ずいじゅう)」とも呼んでいます。
中国のモノに表現された特異な動物には、霊獣のほかに庶民の願いを叶えてくれる吉祥獣もいますが、悪神である魔獣もいます。今回の企画展ではこれらも含めて「霊獣」として一堂に展覧します。
時代と共に変化する霊獣の表現をご覧頂き、モノに込められた人々の思いを感じ取って頂ければ幸いです。