フランス、ブルターニュ半島にある小村ポン=タヴァン。壮大な自然に恵まれ、都会とは一線を画した素朴な文化が残るこの地は、19世紀の多くの芸術家たちによって愛され、その創作のインスピレーションの源になりました。ポスト印象派の代表的作家としてあまりにも有名なポール・ゴーギャン(1848-1903)もそのひとり。1886年に同地を訪れたゴーギャンは、同じく新しい表現を探求していた若い画家たち、ポール・セリュジエ(1864-1927)やエミール・ベルナール(1868-1941)らとともに、ブルターニュ地方土着の宗教や独特の文化を主題に、強調された輪郭線と単純化された色面によって構成された作品を生み出しました。
装飾的で神秘的な表現力をもつ彼らの作品は、象徴主義をはじめとする後の美術動向に大きな影響を及ぼしたほか、西洋文明を捨て、さらなる「原始」を求めてタヒチへと向かった、ゴーギャン自身のその後の芸術にも重要な転機をもたらしました。本展では、カンペール美術館の所蔵作品を中心に、日本初公開となるゴーギャン作品5点を含む約70点をご紹介、神秘の楽園、ブルターニュの美しい自然や風土を描いた作品の数々をお楽しみいただきます。