考古学は、長い年月の間に土の中に埋もれてしまった「物」をしらべて、昔の人のくらしのうつり変わり―「歴史」を明らかにする学問です。横浜市域でもこれまでの発掘調査によって、2万年以上前からの市域のなりたちや人々の暮らしぶりが少しずつわかってきました。その仕事は、今もこつこつと続いています。
平成12(2000)年秋に、いわゆる旧石器捏造事件が起こりました。大きな社会問題となって、考古学の信用は傷つき、まじめに遺跡の調査に取り組んでいる人々も大きな衝撃を受けたのです。こうした問題を繰り返さないためには、専門家はより厳しい目で資料を見る必要があります。そして、考古学の方法や成果を、みなさんに広く正しく伝えていくことがますます大切になってきました。
今回の企画展では、発掘によって得られた横浜市域の考古資料とともに、発掘調査を行ってから報告書を刊行するまでの手順を紹介します。また、近世の民家跡や近代の開港期の遺跡から発見された、横浜ならではの考古資料も展示します。夏休みのひととき、意外に身近な遺跡の世界をぜひ体験してください。