大分は古から仏教文化を受容し、また中世の大友宗麟時代、いち早く南蛮文化を摂取するなど、進取の気風に富んだ土地柄です。美術においても、江戸後期から明治の初めの豊後南画の隆盛や日本画の福田平八郎、髙山辰雄、洋画の佐藤敬、宇治山哲平、工芸の生野祥雲斎など、先進的な芸術家を育んだ芸術風土が脈々と受け継がれています。
本展では江戸後期の田能村竹田から明治、大正、昭和を経て、戦後の前衛美術を代表するネオ・ダダに至る、各時代における優れた美術家の輩出とその革新性に注目し、大分の風土が育んだ特質をアヴァンギャルドの系譜としてとらえ、芸術都市大分に流れる破壊と創造の水脈を、当館のコレクションにより紹介します。
なお、当企画は大分市美術館の常設展示室と企画展示室を含めた全ての展示室を使用して開催するもので、部屋ごとに章を設け6つのパートからなる構成となっています。大分市美術館がこれまで収集してきたコレクションを通じて、大分の美術の特色や独自性、面白さ等を見つけていただくとともに、全館を回遊することで大分市美術館の建築空間の多様さ、周囲の自然環境の素晴らしさなども併せてお楽しみください。