掛川市二の丸美術館の所蔵作品である「木下コレクション」の中から、富士をモチーフに作られた工芸品を展示いたします。
古来より「霊峰」とあがめられた富士山は、さまざまな職人や芸術家にインスピレーションを与えてきました。2013年に世界文化遺産に登録され、今日でもなお人々の関心は尽きません。
そんな富士山は、季節をあらわす様々なモチーフと組み合わされながら、絵画や工芸に登場します。そのことは、富士山がいかに人々に愛されてきたかを物語るものでもあります。さらにまた、観るものを富士山の元へといざなうかのような卓越した職人の技に、彼らもまた富士を愛したのだと読みとることができるのではないでしょうか。
今展覧会では、県指定登録文化財の村松以弘の「白糸瀑図」と共に、初夢の縁起の良さでは1番の「富士」にちなみ、めでたい吉祥文様をモチーフにした煙草道具も展示いたします。大きな世界をそのまま手のひらに収まる装身具へと造り込んだ職人の心意気。ご高覧いただければ幸いです。