日本の近代美術は、明治以後、ヨーロッパの新しい美術運動を咀嚼し、独自に展開していきました。
本展で紹介する梅原龍三郎、安井曾太郎、須田国太郎らが活躍した大正から昭和の時期は、西洋絵画の習得に懸命だった時代からしだいに芸術家の個性が重視されていきました。
この時期、洋画はヨーロッパの伝統的な手法である油彩を用いながらも「日本的」といわれる独自の表現方法が構築されていきます。
個性重視の時代の中、画家たちは「西洋的なもの」と「日本的なもの」の狭間で葛藤しながら独自の表現の獲得を目指しました。
本展では、こうした昭和初期の洋画家たちの葛藤や模索を、社団法人糖業協会のコレクション54点でたどります。
なお、社団法人糖業協会の美術コレクションは、前進である日本糖業連合会当時から始まり、1936(昭和11)年に糖業協会が設立された後も歴代理事長のもとで収集が続けられてきました。
当コレクションは日本近代洋画界を牽引した名だたる画家で構成されており、道内では初公開となります。