この度BASE GALLERYは、櫻井 美智子と杣木 浩一の新作展「内庭は鏡を降りてゆく/外庭に鍵を置く」を開催いたします。
櫻井は綿のキャンバスにアクリルを用いて描く。
従来オーバルのキャンバスだったが、昨今は矩形のものを用いるようになった。
オーバルが中心点を持たぬ分、色彩は緩やかに画面を揺動し留まることがなかった。
しかし今回、矩形に描かれた水の流れにも似た色彩は垂直の力を借りながら、変らず融通無碍な変転を見せてくれる。それは水を孕んだ色彩が深く画面に浸透し、作家が作品に光の領域とタイトルを与えたように、それは正しく光と化して、すべてが浮遊するかのように私たちの前に現れるからだろう。
一方杣木の立体作品は合板にウレタンを用いたものだ。
無数の塗布を重ねて、殆ど鏡面に近い作品は寡黙でただそこにあるだけで十分の充足を見る者に与える。
陰影、企図の過程を一切見る者に忖度させぬ、そこにあるだけの立体の美しさは人がアートを獲得した原初にさえ戻るかのようだ。
置かれた空間をゆがめながら、ついにはその存在さえ沈黙に至る造形物、それが杣木の作品の力だろう。
櫻井は14年ぶりの、杣木はBASE GALLERYでは初めての展覧会となる。
共に暮らす表現者の展示は、相互に作品を映じて互いの相違を超えた協和をみせてくれるかもしれない。
何卒ご高覧の上、広くご喧伝賜りますようご案内と共にお願いを申し上げます。