ミヒャエル・クーデンホーフ=カレルギー(1937~)は、オーストリア・ハンガリー帝国の伯爵家の子孫としてプラハに生まれました。祖母は、明治中期に駐日代理公使ハインリッヒ・クーデンホーフ=カレルギー夫人となった青山光子で、初めて正式な国際結婚をした日本人として知られています。また、ミヒャエルは現在日本に在住し、明治期から今日まで日本との所縁が大変深い画家といえます。さらに、現在のEU(欧州連合)の基礎となった汎ヨーロッパ主義の提唱者リヒャルト・クーデンホーフ=カレルギーは伯父に当たります。
本展では、故郷であるオーストリアやチェコをはじめ、中欧の街並をモティーフにした作品を中心にご覧いただきます。祖国と自身の歴史を見つめながら辿った中欧の道―その街並や建造物は、独特の視点と色彩をもって夢の中に再構築されているかのようです。そのほか、現代社会の様相を時にユーモラスな感覚で捉えた作品なども、独自の魅力を湛えています。