あなたのクローゼットにある、服の一着一着を思い浮かべてみてください。初めてのデートで着たワンピース、おばあちゃんからもらったセーター、幼い頃から憧れだったあのドレス…。誰かの手によって生み出されたはずの衣服が、いつのまにか、あなた自身のことを語り、大切な人との思い出を宿し、周りの人との関係を刻むものへと変化していることに気づくでしょう。
本展覧会では、デザイナーやファッション産業が作り出す「流行」や「消費」といった枠組みから離れ、「着る」という行為を、個人や他者との関係の中に置き、毎日なにげなく繰り返される「服を着ること」を考えます。
2014年6月には、富岡製糸場と絹産業遺産群が世界文化遺産に登録されました。かつて生糸の生産と輸出で栄えた群馬県から、衣服の持つ意味や役割をあらためて見つめ直すことを提案します。