公益財団法人常陽藝文センターでは郷土作家展シリーズ第236回として、「炎を操る 羽石修二展」を開催いたします。
笠間在住の陶芸家・羽石修二さんは、土のもつ力強さと焼成でさまざまな発色を出せる焼締の面白さに魅せられ、大作を日本伝統工芸展などに発表してきました。釉薬をかけずに焼く焼締は、土と炎という陶芸における最小限の要素からなるシンプルな技法です。羽石さんは薪窯の中でも、薪を焚く部屋と作品を置く部屋が分かれていない構造をもつ「穴窯」で焼成しています。
羽石さんは中学校の美術部で触れた粘土に強く惹かれたことから陶芸の道を志し、他県の生徒にも門戸を開いていた京都の陶芸科のある高校に進みました。その後、京都の短大と笠間の窯業指導所を経て独立。基礎技術は学校で会得していた羽石さんでしたが、穴窯での焼成については手探りでのスタートだったといいます。
穴窯で焼く焼締は、炎や灰の影響で現れる発色や景色(模様)がその作品の見どころになります。羽石さんはその焼成をどうコントロールするかの実践を重ねてきました。焼成前に炎と熱の回り方を予想しながら作品を並べ、温度や酸素の量などのさまざまな条件を考慮しながら、長い時で6日間火を焚き続けます。一般的に偶然あらわれた景色の野趣が特徴とされる焼締ですが、完成形を思い描きながらコントロールの精度を上げてきた羽石さんの作品には、品のある端正さが備わっています。
また、成形も発色が際立つように、一つの塊の粘土からロクロで挽き上げる「一本挽き」にこだわって勢いのある均整のとれた形を作り上げています。時には自然釉のほのかな輝きを強調するために、表面に細かな凹凸をつけます。土と炎の力を最大限に引き出そうとする羽石さんは、さらにその幅を広げていきたいと挑戦を続けています。
今展では羽石さんの初期から現在までの優品22点を展示いたします。
公益財団法人 常陽藝文センター