「大蔵会 (だいぞうえ)」は、仏教にかんする典籍を中心とした伝統ある展観事業で、その主体となる京都仏教各宗学校連合会には、現在、十六の大学が加盟しています。大正四年(一九一五)、大正天皇の即位式を記念して始まって以来、毎年開催され、今年は一〇〇回目という大きな節目を迎えることになりました。これを記念して、平成知新館の特別展示室・書跡展示室のほか、染織展示室・金工展示室・漆工展示室の各展示室を会場に大規模な展観を開催いたします。
構成は大きく二つに分けられ、第一部は「大蔵会」という名称の由来にもなる、仏教経典の総集である「大蔵経 (一切経)」についての展示です。大蔵経の書写は、莫大な材料、時間と人員を必要とする一大事業です。にもかかわらず、日本では奈良時代以降、相当な数が作られ、あるいは海外からもたらされました。まさしく、仏の教えがインドから中国、朝鮮半島を経て日本に伝わり、重んじられたこと、すなわち「仏法東漸」の証といえるでしょう。ここでは、わが国屈指の古写経コレクションとして有名な「守屋コレクション」を中心に、その流れを紹介します。
第二部は、日本に伝えられた仏の教えがどのような広がりをもったのか、なかでも仏教各宗派の宗祖についての展示です。さきの十六大学の性格にかんがみ、真言宗、天台宗、浄土宗、浄土真宗、臨済宗を中心に、各宗派の宗祖に関連する書跡のみならず、絵画や工芸品もあわせて紹介し、その足跡をたどります。
日本仏教の歴史を通史的、かつ立体的に見ることのできるまたとない機会となりますので、是非とも多くの方にご覧いただきたく思います。