大師会茶会は、三井物産の創始者で茶人として名を馳せた益田鈍翁が、明治28年(1895)に弘法大師(空海)筆「崔子玉座右銘」を入手し、翌年、それを披露するため、大師の縁日にあたる3月21日に品川御殿山自邸で茶会を開いたことに始まります。「西の光悦会、東の大師会」と称されるように、現在まで続く二大茶会のひとつです。
この大師会で茶席を担当することは、茶人にとって大きなステータス。当館の創設者・畠山即翁は、昭和12年4月21日に音羽護国寺で開催された大師会茶会で初めて茶席を担当し、戦後は大師会の会長も務めています。
今年は弘法大師の高野山開創から1200年、そして鈍翁の「崔子玉座右銘」入手から120年にあたります。本展では、即翁が席持ちした昭和12年の大師会の圓成庵席の道具組を、茶会記を参考に可能な限り再現します。信長・秀吉・利休を意識した豪華な取り合せをご堪能ください。併せて、鈍翁ゆかりの茶道具をご紹介いたします。近代茶人たちの茶の湯に対する熱意、道具をめぐる交流に想いを巡らしていただければ幸いです。