映画ポスターの楽園へ。
カリブの島国キューバが、映画ポスターの国でもあることをご存じでしょうか?
魅力的な音楽やダンスで常に注目を浴びるキューバは、1959年の革命以降、国立の映画芸術産業庁(ICAIC (イカイック))を拠点に次々と先鋭的な映画を送り出してきた「小さな映画大国」でもあります。新ラテンアメリカ映画祭の開催でも知られる首都ハバナは、ラテンアメリカ映画の中心地のひとつとなっています。
そのキューバは、映画の宣伝においても“革命的”な手法を取り入れました。映画ポスターのグラフィックに様々なデザイナーや画家を招き、その製作を大量印刷向きのオフセットではなく手刷りのシルクスクリーン技術で行うという独自性は、一国の映画産業の方針として世界の他のどこにも見られないものです。エドゥアルド・ムニョス・バッチ、レネ・アスクイ・カルデナス、アントニオ・フェルナンデス・レボイロをはじめとする作家たちが、映画作品からの刺激を通じて生み出した豊かな色合いと華やかな表現は、映画に新たな価値を与えるとともに、それ自体が鮮烈な作品となっています。
この展覧会では、フィルムセンターと京都国立近代美術館の共催により、多摩美術大学に寄託されている竹尾ポスターコレクション所蔵作品を中心に、革命期から1990年前後までに制作された85点の映画ポスターを紹介します。キューバ映画はもちろん、盛んに輸入された外国映画のポスターにも焦点を当て、知られざる「映画ポスターの楽園」に皆様を誘 (いざな) います。
また、1月16日から2月28日までの土・日曜には関連上映企画「キューバ映画特集 革命映画から映画革命へ」を開催します。併せてお楽しみください。