北斎、広重、歌麿、師宣、春信らの名品を一堂に公開。
氏家浮世絵コレクションは、長年にわたり肉筆浮世絵の蒐集につとめてきた故・氏家武雄氏と鎌倉市が協力し、昭和49年に鎌倉国宝館内に設置された財団法人です。浮世絵といえば版画を思い起こしますが、絵師自らが筆をとって描いた肉筆画は、一点制作のため、大量生産された版画に比べて現存数がはるかに少ないことで知られます。また、彫師や摺師の手を経て完成する版画と異なり、筆遣いや彩色を直に伝える肉筆画には、絵師本人の技量が如実に表れていると言えるでしょう。氏家武雄氏は、このような肉筆浮世絵の魅力に早くから注目し、生涯を通じてその保護と継承、そして貴重な文化遺産としての認識を広めることに尽力しました。
本展は、氏家浮世絵コレクション設立40周年を記念し、通常は鎌倉国宝館でしか見ることができない肉筆浮世絵の名品57件を紹介するものです。菱川師宣、鈴木春信、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川広重らをはじめ、江戸時代の各時期を代表する30人もの絵師が描いた美人画や役者絵など、華やかな肉筆浮世絵の世界をどうぞお楽しみください。