大村廣陽(1891-1983)は、広島県沼隈郡東村(現・福山市東村町)に生まれ、京都で活動した日本画家です。幼い頃から絵を描くことが得意だった廣陽は、京都市立美術工芸学校と京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)を経て、竹内栖鳳主宰の画塾・竹杖会に入ります。在学中に文展で初入選して以来、文展・帝展を中心に精力的に出品を重ね、京都画壇の中堅として長きにわたる画道を歩みました。
その作品は、徹底した写生に基づいた色彩鮮やかな画面が特徴で、廣陽が最も得意とした動物画、花鳥画をはじめ、晩年の仏画に到るまで数多くの力作を残しています。
本展は、廣陽の動物画と花鳥画を中心に、本画はもとより下絵、スケッチ、学生時代の写生帳等もあわせて展観することにより、画家のモチーフとなる動植物への愛情や真摯な作画姿勢、そして作品世界の魅力を紹介するものです。