田淵太郎は、1977年生まれの陶芸家。大阪芸術大学工芸科を卒業後、2003年に第21回 朝日現代クラフト展で優秀賞を受賞、2005年には、第7回国際陶磁器展美濃に入選しました。出身の香川に帰り、2007年に穴窯を築窯。より管理のしやすいガス窯や電気窯を使う陶芸家が多いなか、山で自ら薪を集め、白磁を薪窯で焼く制作を続けてきました。
薪窯は炎の変化や生じる灰によって、独特の窯変をもたらします。焚き口から上がった炎は、炎に当たる部分の磁土だけをほんのり桜色に染め、見込みに積もった灰は、うつりやすい春の空模様のような、偶然の景色をつくります。より白いことを求めてきた白磁の歴史にあって、緋色や黄、紫に窯変した田淵の白磁は、異端そのもの。しかし洗練された器形の静かな佇まいのなかに、春を差したような淡い色がよく映えます。本展覧会では花入れやオブジェなど、20点ほどを展示します。