桑田卓郎は、1981年広島県生まれの陶芸家。2001年に京都嵯峨芸術大学短期大学部を卒業後、2002年に陶芸家の財満進氏に師事、2007年に多治見市陶磁器意匠研究所を修了し、現在は岐阜県土岐市に工房を構えて制作しています。第6回益子陶芸展(2006年)での濱田庄司賞をはじめ、受賞多数、国内では「工芸未来派」(金沢21世紀美術館、2012年)ほか、ニューヨーク、ブリュッセル、ロンドンなど、各地で個展やグループ展を行なっています。作品は、大胆にデフォルメされた形とポップな色彩が特徴ですが、そこに見られる技法は、長石釉(志野釉)の「梅華皮」(焼成した時にできる釉薬のひび割れ)や、「石爆」(磁土に混ぜた石が、焼成によってはぜて表面に現れたもの)といった、茶陶の文化の中で景色として愛でられてきたものに由来しています。作品は最初、茶碗といった器物を想定しているようですが、磁土や釉薬と戯れるような造形作業の中で、次第に形態は溶け、その形を誇張するかのようにビビットな色が着せられます。豊かな陶芸の歴史と技術に裏付けられて花開く桑田の、明るく鋭敏、かつ素朴な現代の感性が、陶芸の面白さをあらためて感じさせます。本展覧会では器型のものも織り交ぜながら、大小のオブジェを展示します。4月4日~4月18日には、東京赤坂の草月会館1階にあるイサムノグチ制作の「天国」に、作品展示を行います。