立原位貫氏(1951~)は、浮世絵版画の復刻を行う木版画家です。高度な木版技法を独学で習得するだけでなく、紙や絵具といった画材や道具も復元し、文字通りの再現を試みる作家です。
明治時代、浮世絵版画は、西洋から伝来した新しい印刷技術に活躍の場を追われ、画材や道具も生産が減少し、現在では絶えたもの、その危機に瀕するものばかりとなりました。そのような中で、立原氏の画材や道具へのこだわりは、伝統的な製法を保持する生産者や職人の理解と協力に支えられてきました。
本展覧会は、①復刻作品と原画(共に28点) ②画材と道具 ③オリジナル作品(36点)という3つのセクションで構成し、立原氏の幅広い活躍をご紹介します。
復刻作品と原画を比較しながら、出版当初の鮮やかな色彩をご想像ください。また画材や道具を知ることで、浮世絵版画が職人技の集大成であると実感していただけることでしょう。伝統的な素材が醸す気品と、現代的なモティーフの調和がひときわチャーミングなオリジナル作品もご覧いただきます。
江戸時代と現代を行きつ戻りつ、お楽しみください。