ゴー・ビトゥイーンズ=媒介者
異なる国や文化、現実と想像の世界など、あらゆる境界を越える子どもたち
アメリカの写真家ジェイコブ・リースは、19世紀末に貧しい移民の生活を取材する中で、英語が不自由な両親の通訳として、さまざまな用事をこなす子どもたちのことを「ゴー・ビトゥイーンズ」と呼びました。大人が線を引き、区別をつけるこの世界は、子どもたちにとっては必ずしもはっきりと分断されたものではありません。日本語で「媒介者」、「橋渡し」を意味するこの言葉が示すように、子どもたちは異なる国と国、文化と文化の間、そして現実と空想の世界を、自由に行き来することのできる力を持っています。それは、子どもたちが創造的な世界を形づくる力にもつながります。
本展は、世界各国の21組のアーティストが表現した子どもの姿を通して、現代社会の諸相を新たな視点で捉え直すものです。異なる国や文化のはざまで生き抜く子どもたちの柔軟性は、多様な民族や人種が共生する社会を生きるための手がかりを与えてくれます。また、現実と想像、大人と子どもなど、未分化な世界を行ったり来たりする中に、常識に捉われない自由の領域があることを思い出させてくれます。
作品を通して、子どもたちがこれからの時代を創造的に生きるため、その自由な感性をさらに広げてもらうこと、そして何より大人にこそ、閉塞した現代の状況に飲み込まれずに、新たな未来へ向かうためのヒントを得てもらうことを期待します。