多田正美は、音と写真を素材にしながらそれぞれの分野で進歩と深化を続けている作家です。
空の写真はライフワークとして30年近くも撮っています。また彼の自宅近くにある弘法山も30年近く歩き続け、同じ場所を、その日常の場を二重露光で撮影したりしています。何気ないものが多田自身の世界へと転化していくようです。
今回は空を真四角に切り取ることにチャレンジしています。
黄金比率では捉えられないカタチから見えてくるものは、多田は、世界ではなく宇宙であると言っています。もちろんカメラにも6対6という比率のものもありますが、その正方形の「空」を最大の印画紙を使って表現することで、何か違ったものが見えてくるかもしれません。それは、進化ではなく深化につながっていくようです。
音は空か
その音とは、
気が遠くなるほどの沈黙
鳥たちの「眼」が空と対比している
空は大気圏の内と外の境で透明ジェルにて覆われている
大気圏の外は音のない無限宇宙