ベルナール・ビュフェ美術館では、開館40周年を契機として、私たちと同時代を生きる作家の表現世界を紹介する「21世紀アートプロジェクト」を立ち上げました。第3回目は「杉戸洋 frame and refrain」展を開催いたします。杉戸洋(1970-)は、幼少期をニューヨークで過ごし、モダンアートに触れたのち、帰国後は日本画の繊細な線や美しい色彩に魅せられ、愛知県立芸術大学にて日本画を学びます。1990年代より、現代美術のフィールドで絵画を媒体に創作活動をはじめた杉戸は、90年代の「新しい具象」の流れのなかで、抽象と具象、装飾と物語性のあいだを行き来しながら、ペインティングでありながらドローイングでもあるような、流動的な絵画をつくり上げていきます。本展では、新作および未発表作品を中心に展示し、21世紀絵画の魅力と可能性を問いかけます。みずみずしく鮮やかな色に彩られ、幾何学形を基調としたモチーフ、木や家、蝶などのシンプルでありながらも奥行きのあるイメージが描かれた杉戸の絵画は、純粋に絵を見ることの喜びを喚起させてくれることでしょう。