山口県出身の吉村芳生(1950-2013)は、写真や新聞を克明に描き写したモノクロの鉛筆画や、100色の色鉛筆でふるさとの自然を描いた色彩豊かな作品で知られます。その驚異的な描写力による独自の画世界は、一度見たら忘れられないほどの強烈なインパクトをもって見る者を魅了します。まるで命を刻みこむかのような鉛筆の描線が集積した画面は、まさしく描くことが生きることであった画家の命の軌跡ともいえるでしょう。本展では、新聞の一面に自画像を描いた「新聞と自画像」シリーズや、モノクロの鉛筆画、山口県徳地に居を移して制作した花や景色の彩色画など約40作品を一堂に展覧し、吉村芸術の魅力に迫ります。