細密画のごとく果てしなく描き込まれた文様。金彩を含む多彩な色合い。曼荼羅、天空、宇宙と、どんどんトランス状態に陥りそうな絵付けの世界が鈴木秀昭さんの特徴です。
鈴木さんは「文様」という装飾性を自分なりの新しい視点でとらえ、作陶し続けている作家です。昨年、縁あって教える立場の仕事が加わった事もあり、かつて自分が思い悩んだ原点に戻ってみたりと、“ものを作る意味”を改めて考えたそうです。
「一般的に工芸というと、繰り返しの作業で数を作ることを目的としていますが、私は自分にしか作れないものを、あえて作っていこうと考えてずっと制作してきました。それが今吹っ切れました。画家が一枚一枚白いキャンバスに向かって絵を描くように、自分は生地と対峙して一つ一つ考えながら作っていこう、、、と」
そして「若い人には“自分にしか作れないもの”という意識を“核”にして、もの作りをしてほしいと伝えたいです」という言葉に、とても共鳴しました。
「考えることが好きです」と言い切る鈴木さん。毎回、その時々の制作の意味を作品に込めて個展に臨んで下さいます。