明治15(1882)年に来日し、近代化の中で変貌を遂げる日本社会を描いたフランス人画家、G・ビゴーの来日120年を記念して開催します。ビゴーの仕事は画家、諷刺画家、挿絵画家、報道画家、さらには出版編集者など多岐にわたっていますが、この展覧会では諷刺漫画家、ジャーナリストとしてのビゴーにも焦点をあて、挿絵、銅版画、水彩画、油絵など、約350点を紹介します。
日本に17年間余滞在したビゴーが描いたものは、まだ江戸の面影を残す明治中期の日本および日本人でした。それはまた、貧しくも活気に満ちた近代日本の原風景であり、日本人画家たちがあたりまえすぎて描かなかったものであり、写真技術が未発達で記録しえなかったものでもありました。近代初期の日本を、詩情を漂わせ、ときには諷刺を込めて描いたビゴーの絵は、日本人が忘れかけていたものを呼び覚ましてくれることでしょう。