モクモク ギザギザ 動きだしたかたち
どこにも属することなく、時代を自由に、そして飄々と歩み続ける作家・渡辺豊重。赤、緑、オレンジといったあざやかな色と単純なかたち、明るくユーモラスでありながら、どこかエロスを漂わせる作品で一躍画壇に躍り出たのは1960年代のはじめのことでした。
以来60年に渡って、洗練された色とかたちは、油彩画、版画といった平面になったり、巨大な立体となってパブリックアートになったり、時には木彫や貝合わせとなって現れています。戦後間もない1952年から川崎に住み、2000年に栃木県に拠点を移してからは、2つの場所を行き来するようになります。そして漆黒の墨による鬼が出現した2009年以降は4mを越える大画面となるなど、今なお意欲的に制作を続けています。
油彩画、版画、デッサン、立体作品など約130点の作品をご紹介する本展覧会は、今年84歳を迎える渡辺豊重の初の回顧展となります。