江戸時代、明暦年間に興った九谷焼。古九谷に始まり、後世に再興九谷といわれる金沢の春日山窯、小松の若杉窯、小野窯、江沼の吉田屋窯、宮本窯、永楽窯など数多くの特色ある窯が開かれました。
江戸末期から明治初期にかけては、寺井の九谷庄三が繊細で華麗な彩色金襴手を広め国内外で人気を集め、以降の九谷に大きな貢献を果たしました。
伝統は脈々と受け継がれ、九谷焼は昭和五〇年には伝統的工芸品産業に、翌五一年には石川県無形文化財の指定を受けました。
その命ともいえる上絵付は、緑・黄・赤・紫・紺青の五彩を用い、古九谷風、吉田屋風、永楽風、庄三風など多様な様式を持ちます。
本展は江戸・明治・大正・昭和それぞれの時代を代表する作品ともに、現代の「伝統九谷焼工芸展」とあわせて九谷の流れを一望します。