だれもがどこかで、いわさきちひろが描いたこどもたちに出会ったことがあるのではないでしょうか。絵の中のこどもたちを見ていると、彼女がこどもを深く愛し慈しんだことが伝わってくることでしょう。いわさきちひろの絵にあふれるやさしさは、画家が大きな悲しみや激しい憤りを知っているからこそ生まれたものでもありました。今回の展覧会では、そんな彼女の生涯や制作の背景にもスポットを当てています。ことに彼女が敬愛したふたりの画家マリー・ローランサンとケーテ・コルヴィッツの作品も併せて紹介することによって、ちひろが描きたかったものをあらためてみつめなおしてみたいと考えています。いわさきちひろが残したメッセージを受け取って未来へと伝えていくこと-絵の中のこどもたちはきっとわたしたちにちひろのメッセージを伝えてくれることでしょう。いつの時代も変わらないこどもの愛らしさ、かわいらしさ、だれにでもあったなつかしいこどもの頃を思いながら、ちひろの残したやさしい絵のささやきに耳を傾けてみませんか。