三溪園は、横浜の実業家・原三溪が、数百年の時を潜り抜け遺された歴史的建造物を、京都や鎌倉などから集め、20年余りをかけて自らの理想を持ってつくりあげた一大庭園です。四季折々に移り変わる自然とみごとに調和した建造物の数々は、もとからそこにあったかのような佇まいを見せ、庭園全体が美術愛好家としても知られた三溪の洗練された価値観・美意識を伝えています。
日本の風景や伝統の文化・技術を制作のテーマに活動を続ける写真家エバレット・ブラウンは、今回この原三溪が追求した世界に着目、湿板という古くからの技法で三溪園を様々な視点から丹念に写しとっています。本展では、三溪の世界観をともに考えるきっかけとなるよう同氏により生み出された、三溪園の奥深い魅力をとらえた作品13点を紹介します。