谷口仙花(1910-2001・本名富美枝)は, 女子美術専門学校(現・女子美術大学)日本画部を卒業後, 川端龍子の青龍社に入り, 新しい時代の女性像を次々と発表して受賞を重ねました。1938年, 歴程美術協会を旗揚げした呉市出身の日本画家・船田玉樹と出会い意気投合, 共に刺激し合いながら制作に励みましたが, 戦火が激しくなり, 玉樹の故郷である呉市に疎開。戦後は, ともに広島県美展の審査員を務めるなど, 郷里の美術の発展にも努めましたが, 目指す方向性の違いなどから, やがて二人は袂を分かち, 仙花は二人の子どもを残して渡米します。本展では, これまで明らかでなかった彼女の生涯と, 近年呉市で発見された二人の作品を中心に紹介します。