この作品の制作を始めて3年近く経ちます。
あの頃から、ただそこにある日常を大切に思う自分に気付き、同時にそこにある“何か”を意識するようになりました。
ちょうど石で何を彫ればいいのかと考えていたので、何気ない日常の風景をモチーフにして、そこにある別の“何か”を表現してみようと思ったのです。
あとは自分が生きてきたことと、石という素材を信頼するのみでした。
こうして彫り始めてからの月日で感じたことや思い、その“何か”についてはこの文章ではまとめることができませんが、石という素材が、時にズレを生じさせながらも一つの彫刻の形にまとめてくれたように思います。
私はこのように石に頼りきって制作をしているわけなので、その石に感謝しながら今もこの作品を磨いています。