手が動くことによって人間はものをつくります。そこには、作品になる以前の、目の前に見える光景やものに触れたい、新たに形や質感を与えることによって、自分とは別に見える存在“他者”を把握したい、もしくは一体になりたいという衝動があるのかもしれません。作品を見る人もまた様々な衝動にかられるでしょう。
素材から作品の発想が生まれている作品、質感が豊かで触れてみたいと思わせる作品、作家が見た光景と一体になれるように感じられる作品を目にした時、今まで見た事のないものを通して、さらに新たな世界を想像するのではないでしょうか。
創作活動は、この連鎖によって生まれてくると言えます。
作品をつくるとき、見るとき、私たちは実際にどのような感覚を研ぎすませているのでしょうか。触覚や視覚だけには分けられない、世界を感じ取る生命力が、人間の身体には溢れています。
本展では、人間の身体が“世界の肌触り”を初めて感じる時に起こる衝動を通して、当館のコレクションを紹介します。