1950年代初頭、戦後の荒廃の中から芸術の息吹を求めて憧れのパリへと渡った一群の画家たち。彼らは貧しい生活の中で互いに支え合い、また論争しながら新時代の芸術表現を求めて苦闘します。その中でも経済学を学び、ソルボンヌ大学に留学した金山康喜(1926-59)は異色の存在でした。清冽な色彩により不思議な存在感を醸し出す静物画で早くも頭角を現わしますが、病を得て闘病を余儀なくされ、一時帰国のつもりで戻った東京にて突然の死を迎えます。
本展は、33歳で急逝した画家の才気あふれる作品約70点を、彼と同時代のパリを共有した13人の画家たちによる約70点とともに展示いたします。金山をとりわけかわいがった藤田嗣治を始め、荻須高徳、佐野繁次郎など先輩格の画家、青春をともにした田淵安一、野見山暁治ら、そしてまったく傾向の違う激しい抽象「アンフォルメル」に身を投じた今井俊満、堂本尚郎など、具象、半具象、抽象が混淆するパリ画壇において、ひときわ個性を放った金山康喜の画業を振り返ります。