現代アートの世界では、ペインティング、ドローイング、写真、映像、立体、インスタレーションなど様々な手法や形態を自由に選択しながら、また、時には複数の手法を縦横無尽に組み合わせながら作品を制作するようになりました。とりわけ、現代的なイメージの表現方法として、写真や映像という媒体は、アートの表現領域の拡張に大きく貢献してきたと言えましょう。
写真はその移入の時期から北海道と強い関わりを持ってきました。開拓時期の記録写真を経て、今日でも北海道から、大量の観光的風景写真が生み出されています。しかし、アートとしての表現はどうなのでしょう。そこに映るのは、もしかすると、これまでの写真/映像による画像表現や、北海道のイメージから異なった、もうひとつの眺め(sight)や場所(site)であるのかもしれません。
北海道ゆかりの作家を取り上げた本展では、90年代から急激な変化をとげた写真と映像という媒体に的をしぼって、その多様な表現を紹介します。活躍めざましい8名/組の作家の作品を見ていくことで、現代のイメージ表現のあり方や、これからのアートの可能性を感じていただければ幸いです。