吉田博(1876~1950)は、明治・大正・昭和を通じて文展や帝展で活躍した洋画家で、水彩画、油彩画、木版画に優れた作品を残しました。自然への深い愛情と畏敬の念を持ちつづけ、“自然と人間との間に立って、見能わざる人の為に、自然の美を表わして見せる”ことを画家の使命とした博の作品は、殆どが風景画で占められ、その取材範囲は日本のみならず欧米、アジアと世界各国に及んでいます。
この度の展覧会は、吉田博の木版画にスポットをあて、その魅力を紹介するものです。日本の伝統的な浮世絵の高度な木版画技術を受け継ぎながら、西洋画の視点を取り入れた作品は、独自のものとして海外でも高く評価されています。木版画とは思えない程、写実的で精緻、しかも抒情性をもった作品の数々を、この機会にご堪能下さい。