昭和初期から2001年に他界するまで抽象芸術のパイオニアであり続けた美術作家、斎藤義重が晩年に独自の教育理念を具現化させたのが東京芸術専門学校(Tokyo School of Arts = TSA)でした。その卒業生有志が毎年開催するグループ展が「表現される現在」です。
副題となっている「ゼロイスト」とは、1950年の斎藤義重作品題名にちなみ、恩師へのオマージュを表するとともに、常に自らの表現のゼロ地点に回帰しつつ、また旅立つということを意味しています。
今年のテーマは「ゼロイストと表現の自由」。芸術にとって「自由」は本当に可能なのか。現実社会でそれが保証されるものでないことは、昨今また繰り返されている様々な「検閲」や「自主規制」などからも明らかです。そしてまた規制や抑圧からの自由とともに、表現者自身が自らの内側に問う「自由」の根拠とは何か。それぞれの制作・発表を見つめながら考えていきたいと思います。