『人は自己という存在や自らを取り巻く世界、事物のあり方に対してどのように向き合うのか。』
例えば、大気中で水滴がかたまって浮かんで見える状態をわれわれは雲と呼びます。これらの現象の様に、我々は物事の結果と対峙することで、異なる存在としての『何か』を認識します。それには観察しようとする対象と主体の位置や距離が肝要です。そして、それらはそのものの存在を明らかにすると私は確信しているのです。
『近年制作している2つのシリーズからなる展示構成。』
一つ目のシリーズは「読むもの」を光の「かたち」として提示する作品です。本シリーズは、ネオンサインの言葉やテキストを壁に設置するのではなく、台座の上に伏せて置くことによって、指し示されたテキストの内容が抽象的な形態として立ち現れます。昨年ヴェネチアで展示したものと加えて、同じシリーズのものをもう一点展示する予定です。
二つ目のシリーズは、読み終えた物語のページを配布する作品です。私が読み終えた書物からページをすべて切り取り、それを配布物として世界中の街や観光地等で行き交う人々に配布するというものです。本作品は、それ自体の状態を問うことを目的としています。昨年、ニューヨークとヴェネチアの2箇所で配布したドキュメントをそれぞれ映像による作品として発表します。