「一度くらいは観てみよう」ではじめた芝居見物。一度で終わらず、忠臣蔵だけで89点の作品ができた。展覧会では展示しきれず、ドローイングや版画が溜まっていった。義太夫協会に入って太棹を買い、師匠につき、忠臣蔵三段目「表門」を初めて弾けたときの驚きと喜び。体を通して伝わる響きに「音を描く」という自分のテーマが蘇った。1986年から10年間の「芝居三昧」の日々、その軌跡をどうぞご覧ください。
ゴトウ千香子
昨年のギャラリー島田での個展でご披露いただいた忠臣蔵のシリーズ。白の余白、木版による鮮やかな面、柔らかでリズミカルなシルクスクリーンの数少ない線に、役者の美しい動きや心情、音、観客であるゴトウさんの恋する気持ちが豊かに表現されていて、すっかり虜になりました。今回は、今年の南座の顔見世興行での演目、七段目、九段目を中心に構成していただきます。作品の横に、ゴトウさんの手書きで演目や場面の解説をつけていただきますので、忠臣蔵初心者でもお楽しみいただけます。さらにお勧めは、恋するゴトウさん直々のトーク解説です。アーティストトークもお越しいただければと思います。
ギャラリー島田 島田容子
ゴトウさんの作品を通して、江戸時代の庶民が熱狂した歌舞伎芝居の世界をお楽しみいただければと思います。また、日本人が永く愛してきた忠臣蔵という作品を通して、現代の日本人が忘れかけている何かをご一緒に思いおこすことができればと思います。
有斐斎弘道館 濱崎加奈子