伝統技術が駆使されている美しさには、安心感があります。同時に伝統を継承したいという、作家の創造意欲を強く感じます。
小川郁子さんは、江戸切子では珍しい曲線の文様を取り入れたり、カットを深くして立体的で動きのある造形を試みたりと、自分ならではの表現に挑戦しています。
9年間もの間、江戸切子の第一人者に師事して修行を経験したこともあり、日本伝統工芸展に5回入選。今年は東日本伝統工芸展で、岩手県知事賞も授賞という経歴の持ち主ですが、常に焦らず、等身大での制作姿勢も彼女の魅力のひとつです。
「昔から瓶の形が好きでだったこともあり、今回は特に『瓶』を作ってみました。ただ置いておくだけでも、、、時に花を入れたり液体を入れたりと。立ち上がっている形なので、向きによって柄の見え方を違えたり、向こう側の柄も意識させたりと、作る側もあれこれ思いが膨らみ楽しいアイテムです」
他にぐい呑みや、タンブラー、鉢など。もちろん人気の帯留めも出品されます。
手間をいとわず、完成度の高い作品作りに真摯に挑む、小川郁子さんの新作展です。