「文房」とは書斎を意味し、筆・硯・紙・墨を主とした机上の道具を文房四宝と呼びます。文人たちが愛した文具には、墨色の良し悪し、使い勝手だけでなく、彼らの高い教養と洗練された芸術性が反映しています。こうした環境から良質な書画が生み出され、詩作がなされました。永青文庫の中国美術は細川家に伝来した品々に加え、近代に入って、16代護立、17代当主・護貞によって収集された作品で構成されています。護立が晩年になって傾注した中国文物コレクションの数々、若い頃より漢学に親しんだ護貞の収集した中国書画、文具。希少性はもとより、まさに文人らが理想とした清趣に満ちあふれた作品群です。
この展示は北宋から近代に渡る書跡約20点と、明・清を中心とした文房具約50点によって構成されます。一つ一つの作品はもとより、その取り合わせ、「文人趣味」も併せてご堪能ください。