黒田清輝や和田英作と並び、日本洋画壇の三先達と称される鹿児島出身の画家、藤島武二は、明治浪漫主義と呼ばれる叙情性の強い装飾性に富んだ作品を描き、晩年は風景画を得意としました。
「絵画芸術では単純化ということは最も大切なことと信ずる。複雑なものを簡約する。如何なる複雑性をも、もつれた糸をほごすように、画家の力で単純化するということが画面構成の第一義としなければならない。」という藤島の言葉は彼の芸術観の核心をのぞかせており、晩年に至るまでこの信念を貫き通しました。
今回の企画展では、収蔵作品の中から風景画を中心とした水彩・デッサン作品17点をご紹介致します。これらの作品の中に、藤島の目指した「単純化」の実践と成果をご覧いただけるでしょう。