革命期のロシアで台頭してきたアヴァンギャルド芸術は、はるか極東のハバロフスク、ウラジオストクといった地方都市にも波及し、先進的な芸術家たちが『緑の猫』『創造』などといったグループとしてさまざまな活動を繰り広げました。その影響は、1920(大正9)年に、ブルリュークとパリモフという二人のロシア未来派の画家が来日を果たしたことによって日本の美術にも及ぶことになります。二人はこの年、前衛的なロシア美術の展覧会を開催したのです。いうまでもなくそれは、ロシアの前衛美術が紹介される日本ではじめての機会となりました。
本展は、未来派から革命のプロパガンダへと展開してゆく1920年前後の極東ロシアのモダニズム美術を、ハバロフスクの極東美術館、ウラジオストクの沿海地方絵画美術館などロシアの美術館・博物館から約170点を紹介します。そして同時に、ブルリュークとパリモフの来日によって急展開した日本の新興美術約140点を展示し、今まであまり注目されてこなかったこれらの影響関係を明らかにします。
永く封印されていた知られざる極東ロシアの近代美術と、それを知ることによって新たな局面や影響関係が見えて来る日本の近代美術。二つの繋がりの深さをこの貴重な機会にご高覧ください。