本展は「中村研一 入門と応用」と題し、当館が所蔵する洋画家・中村研一(1895~1967)の作品を2つの視点から展観します。
<入門編>では、油彩画を中心に初期から戦争期、そして最晩年まで中村の代表的な作品や人気の高い作品を展示。また、近年収蔵された注目作品もご紹介します。
<応用編>では、Ⅰ期とⅡ期と異なるテーマの小特集を設け、水彩画・素描を中心に中村研一の知られざる一面や新たな魅力を紹介します。
(小特集Ⅰ) 洋画家の食卓
洋画家として活躍する一方、画家仲間の間で食通として知られていた中村研一。
仏留学中、パンくずとビールでぬかみそづけを作り画友にふるまったり、モンパルナスやカルチェラタンの裏通りにある怪しげなレストランにも足を運んだりと食にまつわる逸話を残す中村は、帰国後も食への探究心と仏料理の知識を活かし、数々の新聞や婦人雑誌にエッセイやレシピを発表しました。
この小特集では、野菜や果物、食卓の風景などを描いた作品に加え、エッセイやレシピを紹介し、美食家としての一面に迫ります。
(小特集Ⅱ) 解き分けられたスケッチブック
当館の所蔵作品約800点の内、540点余りを水彩・素描が占めています。
内容は身辺を描きとめたスケッチ、油彩作品の下絵、新聞・雑誌挿絵の準備稿などさまざま。これらをよく見ていくと、「もとは同じスケッチブックに綴じられていたのでは?」と推測されるグループがいくつかあります。
この小特集は、そうしたスケッチブックの一部の復元を試みることを通して、中村の興味関心、制作のプロセスをたどってみようとするものです。