巻物は「巻子(かんす)本」とも呼ばれる洋の東西を問わず見られる図書の装丁形態であり、特に日本では経典の写経や「絵巻物」と呼ばれる巻子装の絵画作品として盛んに用いられていました。やまと絵様式の「絵巻物」のような、平安時代末期から鎌倉時代に盛んに描かれた物語を中心とした作品に対し、文人画家を中心とした江戸期の画人たちによって制作された巻物は、その渡来した絵画様式から「画巻」「図巻」と呼ばれ、風景表現や紀行記録を中心とした絵画作品が多く作られました。本展覧会では当館の文人画コレクションを主に、江戸期の画人たちが巻物に描いた様々な風景表現を紹介します。